2021/01/20 19:20

革製品を製作するのに必要な革。

当然のことがながら動物から剥ぎ取った状態のまま使えるわけではありません。

皮革(ひかく)という単語がありますが皮と革の違いをご存知でしょうか?

皮とは動物から剥ぎ取った状態のものを指します。

対して革とは製品として使えるような加工を施されたもののことを言います。

この加工を鞣し(なめし)と言います。

なめしには大きく分けて2種類あります。

簡単に言えば生産効率が良くコストも抑えられるのが「クロームなめし」対して生産効率が悪くコストがかかるのが「タンニンなめし」です。

クロームなめしとは・・・

塩素性硫酸クロムという化学薬品を用いたなめしで100年程前にドイツで開発されました。時間と手間もかからないことから日本でも高度経済成長期に多くのタンナー(革をなめす職人のこと)がクロームなめしに切り替えています。

柔らかく頑丈なため主にソファや車のシートに使われています。またバッグや財布などに使用されるケースも非常多いです。

クロームなめしの革はタンニンなめしの革と比べて柔軟性があり水濡れにも強いという特徴があります。

値段も安く手入れの手間もないため多くの方がこのクロームなめしの革を手に取ることが多いでしょう。

タンニンなめしとは・・・

タンニンとよばれる植物に含まれる水溶性化合物を用いてなめす技法です。起源は古く古代エジプトにまで遡ります。

なめし加工の際に植物性の材料しか使わないため革の風合いを損なうこともなく環境に優しいという特徴があります。

またタンニンなめしの最大の特長とも言えるのが経年変化をしていくことです。

下の画像左側が使用前、右側が使用後(1年程度)です。

小銭入れ “ボックス” CP-03 ¥3,400+tax


このように使い込むごとに革質や色が変化していきます。変化の仕方も持ち主によって変わるので愛着を持って使っていただけます。

タンニンなめしとクロームなめし、どちらの革を選ぶべきか

今市場に出回っているおよそ8割ほどの革製品にはクロームなめしの革が使われています。

先ほど書いたとおりクロームなめしの革は手間も時間もとらないため量産しやすくクロームなめしの革を用いた財布やバッグはとても安く購入することができます。

そのため多くの方が安価なクロームなめしの革を使用した製品を手に取るでしょう。

それに対してタンニンなめしの革は水濡れにも弱く、場合によってはメンテナンスが必要な場合もあります。しかし、その分一度買えば大事に何年も変化を楽しみながら使っていただくことができます。

革製品の製作は生き物の殺生のもとに成り立っています。それが量産品製作のために使われて破格の値段で売られていると思うと少し悲しくありませんか?

鼓吹-kosui-では主にタンニンなめしの革を使った製品の製作に取り組んでいます。それは革小物を使うのであれば一度手にしたものを何年も何年もくたくたになるまで使い存分に育てあげていってほしいという思いからです。

生き物へのリスペクトを忘れずに永く大切に革製品と向き合ってもらえる事を願っています。

財布や鞄などは必需品であると同時に嗜好品でもあります。それを使ったり愛でたりすることによって日常が少し華やかに見えたりしてきます。

せっかく購入を検討されるのであれば永く愛着を持って使っていけるタンニンなめしの革製品を選んでみてはいかがでしょうか。